愛犬が骨折してしまったとき、飼い主さんが真っ先に気になるのは「治療費はいくらかかるのか」「どんな手術が必要なのか」ということだろう。犬の骨折は決して珍しいケガではなく、特に小型犬は高い場所からの落下やちょっとした衝撃でも骨が折れてしまうことがある。
犬の骨折治療にかかる費用は、骨折の程度や部位、選択する固定方法によって大きく異なり、軽度なケースで10万円前後、手術が必要なケースでは20〜50万円程度が目安となる。重度の粉砕骨折などでは100万円に達するケースもある。
この記事では、犬の骨折治療にかかる費用の内訳、固定方法の種類ごとの特徴、そして費用を抑えるための対策について詳しく解説していく。

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犬の骨折が起こる主な原因
犬の骨折は、以下のような状況で発生することが多い。
- 高所からの落下:ソファやベッド、抱っこ中の落下(特に小型犬に多い)
- 交通事故:散歩中の飛び出しや、ドアの隙間からの脱走時
- 踏みつけ:飼い主さんが誤って踏んでしまうケース
- 他の犬との衝突やケンカ:ドッグランなどでの接触事故
- 骨の脆弱化:栄養不良や加齢による骨密度の低下
- 激しい運動中のアクシデント:フリスビーやアジリティでの着地失敗
特にトイプードル・チワワ・ポメラニアン・イタリアングレーハウンドなどの小型犬は骨が細いため骨折リスクが高い。これらの犬種は、人間にとっては何でもない30cm程度の高さからの落下でも骨折してしまうことがある。日常生活の中で骨折予防を意識することが大切である。
ソファやベッドの上り下りには、段差を小さくできる犬用ステップを置いておく方法もあります。
また、高齢犬は骨密度が低下しているため、若い頃なら問題のない衝撃でも骨折するリスクがある。シニア犬の飼い主さんは特に注意が必要。
犬の骨折の症状と見分け方
犬が骨折した場合、以下のような症状がみられる。
- 患肢をかばって歩かない、地面に足をつけない(挙上跛行)
- 触ると激しく痛がる、鳴く、噛もうとする
- 患部が腫れている、熱を持っている
- 足が不自然な方向に曲がっている(変形)
- 元気がなくなり、食欲が落ちる
- 呼吸が浅く速くなる(痛みが強い場合)
- 患部をしきりに舐めようとする
骨折には「開放骨折(複雑骨折)」と「閉鎖骨折(単純骨折)」がある。開放骨折は骨が皮膚を突き破って外に出ている状態で、感染リスクが高く緊急度が非常に高い。閉鎖骨折は皮膚の下で骨が折れている状態で、レントゲンを撮らないと骨折と確定できないこともある。
骨折が疑われる場合は、患部を無理に動かさず、できるだけ安静にして速やかに動物病院を受診すること。応急処置として添え木を当てようとする飼い主さんもいるが、犬が嫌がって暴れると骨折が悪化するリスクがあるため、無理に固定しようとしないこと。大きめのタオルやバスタオルで全身をやさしく包んで、キャリーや段ボールに載せて運ぶのが安全。
いざという時にすぐ使えるよう、普段から通院用のキャリーバッグを用意しておくと安心です。
犬の骨折手術の費用相場
犬の骨折治療にかかる費用は、骨折の部位・程度・治療法によって大きく変わる。以下が一般的な費用目安。
治療法別の費用目安
| 治療法 | 費用の目安 | 適用されるケース |
|---|---|---|
| ギプス固定(保存療法) | 5〜10万円程度 | ヒビや軽度の骨折 |
| プレート固定手術 | 20〜40万円程度 | 一般的な骨折で広く採用 |
| 髄内ピン固定手術 | 15〜30万円程度 | 長管骨の骨折 |
| 創外固定手術 | 20〜40万円程度 | 開放骨折や粉砕骨折 |
| 粉砕骨折の複合手術 | 40〜100万円以上 | 重度の粉砕骨折 |
上記に加えて、入院費(1日あたり3,000〜5,000円程度)、術前検査費(血液検査・レントゲンなど1〜3万円)、術後の通院費、薬代などが別途かかってくる。
費用に影響する要因
骨折治療の費用は以下の要因で大きく変動する。
- 犬のサイズ:大型犬は使用する金属インプラントが大きくなり、麻酔量も増えるため費用が上がる
- 骨折の複雑さ:単純骨折よりも粉砕骨折のほうが手術の難易度が高く費用もかさむ
- 骨折の部位:前足よりも後足、特に大腿骨の骨折は手術が複雑になりやすい
- 動物病院の設備・地域:都市部の専門病院は地方の一般病院より高い傾向がある
- 合併症の有無:感染や癒合不全が起きると追加の治療費が発生する


犬の骨折の固定方法の種類
犬の骨折治療には、大きく分けて「保存療法(外固定)」と「手術療法(内固定・創外固定)」がある。骨折の部位や重症度に応じて、獣医師が適切な方法を選択する。
1. ギプス固定(外固定・保存療法)
グラスファイバーやシーネ(副木)を使って、骨折した部位を外側から固定する方法。手術の必要がない軽度の骨折やヒビに適用される。尾や肋骨の骨折でも保存療法が選択されることがある。
費用は比較的安価だが、犬がギプスを嫌がって噛んだり外したりすることがあり、管理が難しい面がある。また、固定力が手術に比べて弱いため、活発な犬や大型犬には向かないケースもある。ギプスの巻き直しが必要になることもあり、通院費が追加で発生することがある。
2. プレート固定(内固定手術)
骨折部分の骨に沿って金属製のプレートをネジで固定する方法。犬の骨折治療で最も広く採用されている手術法で、固定力が強く、術後の回復も比較的早い。
固定が強力なため早期からリハビリが可能で、癒合不全(骨がつかない)などの合併症が少ないのがメリット。チタン製やロッキングプレートなど、使用するプレートの種類によって費用が変わる。骨がしっかり癒合した後にプレートを除去する2回目の手術(抜釘手術)が必要になるケースもあるが、問題がなければ体内に残す場合も多い。
3. 髄内ピン固定
骨の中心にある髄腔(ずいくう)にピン(金属の棒)を通して固定する方法。長管骨(大腿骨や脛骨など長い骨)の骨折に適している。
プレート固定に比べると回転方向の固定力がやや弱いため、ワイヤーやプレートと組み合わせて使われることも多い。コストはプレート固定よりもやや安くなる傾向がある。
4. 創外固定
皮膚の外からピンを骨に刺し、体の外でフレーム(枠)を使って固定する方法。開放骨折(骨が皮膚から飛び出した骨折)や粉砕骨折に適している。
体内に金属が残らないのがメリットだが、ピンが皮膚を貫通しているため感染リスクの管理が重要となる。ピン周りの消毒を定期的に行う必要があり、飼い主さんの日常的なケアが求められる。
- 軽度ならギプス固定で対応可能(費用も安め)
- 一般的な骨折にはプレート固定が最も多く選択される
- 重度の粉砕骨折では創外固定や複合術が必要になることがある
- 治療法の選択は獣医師の判断によるため、よく相談することが大切
骨折しやすい犬種とその理由
犬種によって骨折のしやすさには大きな違いがある。
骨折リスクが高い犬種
| 犬種 | 骨折リスクが高い理由 |
|---|---|
| トイプードル | 前足の骨(橈骨・尺骨)が非常に細い |
| チワワ | 体が小さく骨が細い。落下事故が多い |
| ポメラニアン | 骨が細く、抱っこ中の落下リスクが高い |
| イタリアングレーハウンド | 細身で骨が繊細。全犬種中でも骨折率が非常に高い |
| ヨークシャーテリア | 体重に対して骨が細い |
これらの小型犬種を飼っている場合は、骨折予防の環境整備が特に重要になる。


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骨折手術後のケアとリハビリ
骨折手術が成功しても、その後のケアとリハビリが回復を大きく左右する。
術後の安静期間
手術後は最低でも4〜8週間の安静が必要。ケージレスト(ケージ内での安静)が基本となり、散歩や激しい運動は骨が十分に癒合するまで制限される。安静期間中はストレスがたまりやすいので、知育おもちゃやノーズワークなど、体を動かさなくても楽しめる遊びを取り入れよう。
定期的なレントゲン検査
骨の癒合状況を確認するため、術後2週間、4週間、8週間など定期的にレントゲン検査を行う。通院のたびに3,000〜5,000円程度の検査費用がかかる。癒合が遅い場合は追加の検査や処置が必要になることもある。
リハビリテーション
骨が癒合した後は、筋力の回復と関節の可動域を取り戻すためのリハビリが行われる。水中トレッドミルやマッサージなどの専門的なリハビリを導入する動物病院もある。リハビリの費用は1回3,000〜8,000円程度が目安。
犬の骨折治療費を抑える方法
ペット保険に加入しておく
骨折はペット保険の補償対象となるケースがほとんど。保険に加入していれば、手術費や入院費の50〜70%が補償され、高額な自己負担を大幅に軽減できる。特に骨折リスクの高い小型犬の飼い主さんは、加入を検討しておくと安心。
早期受診で重症化を防ぐ
骨折を放置すると、骨が変な位置でくっついてしまう(変形癒合)ことがあり、矯正するためにより複雑な手術が必要になる。異変を感じたら早めに受診することで、治療の選択肢が広がり費用も抑えやすくなる。
予防を徹底する
そもそも骨折しないように予防することが、費用面でも愛犬の健康面でも一番重要。フローリングに滑り止めマットを敷く、ソファに犬用ステップを設置する、抱っこ中の落下に注意する、ベランダや階段にゲートを設置するなど、日常的な対策を心がけよう。


よくある質問(Q&A)
Q. 犬の骨折で入院は何日くらい必要?
A. 手術の内容にもよるが、一般的には3〜7日程度の入院が必要。軽度なギプス固定のみの場合は日帰りや1泊で済むこともある。
Q. 骨折した犬を動物病院に連れて行くまでの応急処置は?
A. 患部を動かさないようにタオルなどで体全体をやさしく包み、平らな板やキャリーに乗せて運ぶのが基本。無理に添え木を当てたり、患部を触ったりしないこと。出血がある場合は清潔なガーゼで軽く押さえる。
Q. 小型犬と大型犬で骨折の手術費用に差はある?
A. 一般的に大型犬のほうが費用は高くなる傾向がある。体が大きいぶん使用するプレートやネジも大きくなり、麻酔量も増えるため。一方で、小型犬は骨が細いため手術の難易度が高いケースもあり、専門的な技術が必要になる場合は小型犬でも高額になることがある。
Q. 骨折のプレートは取り外す手術が必要?
A. 骨が完全に癒合した後にプレートを除去することがあるが、問題がなければそのまま体内に残すケースも多い。獣医師と相談して決めるのがよい。抜釘手術が必要な場合は追加で5〜15万円程度の費用がかかる。
Q. 犬の骨折は完治するまでどれくらいかかる?
A. 一般的に骨の癒合には4〜12週間程度かかる。若い犬ほど治りが早く、高齢犬は時間がかかる傾向がある。完全に元の生活に戻れるまでのリハビリ期間を含めると、3〜6か月程度を見込んでおくとよい。
Q. 骨折はペット保険で補償される?
A. 骨折はほとんどのペット保険で補償対象。通院・入院・手術のすべてがカバーされるケースが一般的。ただし、保険加入前に発生していた骨折や、先天性の骨格異常に起因する骨折は対象外になることがある。


まとめ
犬の骨折は手術が必要になるケースが多く、プレート固定などの手術では20〜40万円程度の費用がかかるのが一般的。重度の骨折ではさらに高額になることもある。
治療法にはギプス固定・プレート固定・髄内ピン固定・創外固定などの選択肢があり、骨折の部位や程度に応じて獣医師が判断する。術後の安静期間やリハビリも含めると、完治までの総費用はさらに大きくなりうる。
突然の骨折に備えて、ペット保険への加入を検討しておくことが経済的な安心につながる。そして何より、日頃から骨折予防を意識した環境づくりが大切である。
参考:アニコム損保「犬の骨折…治療費用は?」 楽天保険の比較「愛犬が骨折しているかも?」 ペット保険STATION「骨折はペット保険で補償対象?」
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