猫の膀胱炎は、動物病院を受診する理由としてとても多い疾患のひとつ。特にオス猫は尿道が細いため膀胱炎になりやすく、重症化すると尿道閉塞という命に関わる事態に発展することもある。
猫の膀胱炎の治療費は、1回の通院あたり5,000〜15,000円程度が目安で、完治までに数回の通院が必要になることが一般的。重症化して手術が必要になると10万円以上かかるケースもある。
この記事では、猫の膀胱炎の治療費の相場、通院回数の目安、膀胱炎の種類ごとの治療の違い、再発を防ぐためのポイント、そして飼い主さんが日常的にできるケアについて詳しく解説する。

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猫の膀胱炎とは
膀胱炎とは、膀胱の粘膜に炎症が起きた状態のこと。猫の膀胱炎は大きく以下の種類に分けられる。
1. 特発性膀胱炎(FIC)
猫の膀胱炎で最も多いタイプで、全体の約60〜70%を占めるとされている。原因がはっきりしないのが特徴で、ストレス・生活環境・体質・自律神経の異常などが複合的に関わっていると考えられている。多頭飼いの猫、引っ越し直後の猫、トイレが少ない環境の猫に発症しやすい傾向がある。
トイレを増やす際は、猫がゆったり使える大きめの猫用トイレを選ぶ飼い主も多いです。
2. 細菌性膀胱炎
細菌感染が原因で起こる膀胱炎。若い猫では比較的少なく、10歳以上の高齢猫や免疫力が低下した猫、糖尿病を併発している猫に多い。抗生物質による治療が有効で、原因菌に合った薬を選択することが重要。
3. 結石性膀胱炎
膀胱内にできた結石(ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど)が膀胱粘膜を傷つけて炎症を起こすタイプ。結石の除去や療法食での管理が必要になる。結石が尿道に詰まると尿道閉塞を引き起こす。
猫の膀胱炎の症状
膀胱炎になった猫は以下のような症状を示す。
- 頻尿:何度もトイレに行くが、少量しか出ない。1日10回以上トイレに行くことも
- 血尿:おしっこがピンク色や赤色になる。トイレの砂に血液が混じっている
- 排尿時の痛み:トイレで鳴く、力む、排尿時に背中を丸める
- トイレ以外での排尿:布団やカーペット、洗面台の中などにおしっこする
- 陰部をしきりに舐める:違和感や痛みを感じて頻繁にグルーミングする
- 元気・食欲の低下:痛みや不快感からぐったりすることがある
- トイレの前で長時間座っている:排尿しようとするが出ない状態
オス猫がトイレに何度も行くのに全く尿が出ない場合は、尿道閉塞の可能性がある。これは24〜48時間放置すると急性腎不全から命に関わる緊急事態。嘔吐やぐったりした様子がみられたら、夜間でもすぐに動物病院を受診すること。
猫の膀胱炎の治療費の相場
通院治療の費用
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 診察料 | 1,000〜2,000円 |
| 尿検査 | 1,500〜3,000円 |
| 超音波検査 | 3,000〜5,000円 |
| 血液検査(必要な場合) | 5,000〜10,000円 |
| 尿培養検査(細菌性の場合) | 3,000〜8,000円 |
| 内服薬(抗生物質・消炎剤など) | 2,000〜5,000円 |
| 注射(必要な場合) | 1,500〜3,000円 |
| 1回の通院あたり合計 | 5,000〜15,000円程度 |
通院回数の目安
| 膀胱炎のタイプ | 治療期間の目安 | 通院回数の目安 | 治療費総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 軽度の特発性膀胱炎 | 1〜2週間 | 2〜3回 | 1〜3万円 |
| 細菌性膀胱炎 | 2〜4週間 | 3〜5回 | 2〜5万円 |
| 結石を伴う膀胱炎 | 1〜3か月 | 5〜10回以上 | 3〜10万円 |
| 再発を繰り返す慢性膀胱炎 | 長期管理 | 月1〜2回の定期通院 | 年間5〜15万円 |


重症化した場合の費用
尿道閉塞の緊急処置
オス猫で尿道閉塞が起きた場合は、カテーテル(細い管)を尿道に挿入して閉塞を解除する緊急処置が必要。緊急処置と数日間の入院で5〜15万円程度の費用がかかることが多い。カテーテルを留置したまま2〜3日間入院して尿の流れを確保するケースもある。
結石の外科手術
内科治療で溶解できない結石(シュウ酸カルシウム結石など)は、手術で摘出する必要がある。膀胱切開による結石除去の手術費用は10〜20万円程度が目安。入院費と術前検査を含めると15〜25万円程度になることもある。
会陰尿道瘻設置術
尿道閉塞を繰り返すオス猫に対して行われる手術。狭い尿道を広げて排尿しやすくする外科処置で、費用は15〜25万円程度。この手術により尿道閉塞の再発リスクを大幅に減らすことができる。
- 軽度の膀胱炎なら治療費総額は1〜3万円程度で済むことが多い
- 尿道閉塞の緊急処置+入院で5〜15万円程度
- 結石手術が必要になると10〜20万円以上
- 慢性化すると年間の治療費が5〜15万円になることも
猫の膀胱炎の治療法
投薬治療
細菌性膀胱炎の場合は抗生物質が処方される。投薬期間は通常2〜4週間で、途中で症状が改善しても自己判断で中断しないことが重要。特発性膀胱炎では消炎鎮痛剤(メロキシカムなど)や、抗不安薬・サプリメントが使われることもある。
療法食への切り替え
結石が原因の場合、尿のpHを調整してミネラルバランスを整える療法食への切り替えが行われる。ストルバイト結石は療法食で溶解できるケースがある。療法食は一般のフードより費用がかかるが、手術を回避できる可能性を考えると費用対効果は高い。
環境改善(特発性膀胱炎の場合は特に重要)
特発性膀胱炎はストレスが大きな要因とされるため、以下の環境改善が治療の重要な柱となる。
- トイレの数を増やす(猫の数+1個が理想)
- トイレをこまめに掃除する
- 水飲み場を複数設置する
- 安心できる隠れ場所を用意する
- 急な環境変化(引っ越し、家具の移動など)を避ける
水飲み場を増やすなら、流れる水で猫の興味を引きやすい自動給水器を取り入れる方法もあります。


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膀胱炎の再発を防ぐポイント
- 水分摂取量を増やす:ウェットフードの活用、水飲み場を複数設置、流れる水が出る給水器の導入。1日に体重1kgあたり40〜60mlの水分摂取が理想とされている
- トイレ環境を整える:トイレは猫の数+1個を目安に設置し、こまめに掃除する。猫砂の種類が気に入らないと排尿を我慢するケースもあるため、猫の好みに合った砂を使うこと
- ストレスを減らす:安心できる隠れ場所の確保、急な環境変化を避ける。フェリウェイ(猫のフェイシャルフェロモン製品)を活用するのも一つの方法
- 適正体重を維持する:肥満は膀胱炎のリスク因子になるため、適切な食事管理が重要
- 定期的な尿検査:症状がなくても年に1〜2回の尿検査で早期発見につなげる。特に過去に膀胱炎を経験した猫は半年に1回の検査が望ましい
膀胱炎が疑われるときの自宅でのチェック方法
以下のポイントを日頃から観察しておくと、膀胱炎の早期発見に役立つ。
- トイレの回数を記録する:普段のトイレ回数を把握しておけば、頻尿に気づきやすい。システムトイレを使っている場合はシートの色の変化もチェック
- 尿の色を確認する:白い猫砂を使っていれば血尿が分かりやすい。ピンク色や赤色の尿が見られたら受診のサイン
- トイレでの滞在時間を観察する:トイレに長時間座っている、何度も出入りしている場合は排尿困難の可能性
- トイレ以外で排尿していないか確認する:布団、カーペット、洗面台などにおしっこの跡がないかチェック


よくある質問(Q&A)
Q. 猫の膀胱炎は自然に治る?
A. 軽度の特発性膀胱炎は数日で症状が落ち着くことがあるが、自然治癒を期待して放置するのは危険。特に血尿がある場合や排尿困難がある場合は、早めに動物病院を受診すべき。放置すると慢性化して治療が長引く原因になる。
Q. 膀胱炎はペット保険で補償される?
A. 膀胱炎はほとんどのペット保険で補償対象。通院・入院・手術いずれも補償されるケースが一般的。ただし、保険加入前に発症していた膀胱炎は対象外になることがある。
Q. 膀胱炎のメス猫とオス猫で治療費に違いはある?
A. 膀胱炎自体の治療費に大きな差はないが、オス猫は尿道閉塞のリスクがあるため、その処置が加わると費用が大幅に増える。メス猫は尿道が太いため閉塞のリスクは低い。
Q. 膀胱炎の猫に人間用の薬を使っていい?
A. 人間用の薬を猫に与えることは絶対にNG。特にロキソニンやイブプロフェンなどの鎮痛剤は猫にとって致死量が非常に少なく、命に関わる。薬は獣医師が処方したものだけを使用すること。
Q. 膀胱炎の予防にクランベリーは効果がある?
A. クランベリーサプリメントは人間の膀胱炎予防として知られているが、猫に対する効果は科学的に十分に証明されていない。獣医師に相談のうえ、補助的に使用する分には問題ないが、クランベリーだけで膀胱炎を予防・治療することはできない。
まとめ
猫の膀胱炎の治療費は、軽度なら1回の通院で5,000〜15,000円程度、完治までの治療費総額は1〜5万円程度が目安。重症化して手術が必要になると10万円以上かかることもある。
膀胱炎は再発しやすい疾患であるため、治療だけでなく再発予防の取り組みが非常に重要。水分摂取量を増やす工夫、トイレ環境の改善、ストレス軽減を日頃から意識しよう。
愛猫の健康と家計を守るためにも、ペット保険への加入を検討しておくと安心である。
参考:Catlog「猫が膀胱炎に!治療費はどのくらい?」 ペット保険STATION「膀胱炎はペット保険で補償対象?」 ペット保険比較のピクシー「猫の膀胱炎は治療費が高額?」
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