「愛犬に心臓の雑音があると言われたけど、これからの治療費が心配…」「心臓弁膜症ってペット保険でカバーできるの?」そんな不安を抱えている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬に多い僧帽弁閉鎖不全症(心臓弁膜症の一種)は、治療が生涯にわたることが多く、費用も積み重なると高額になりやすい病気です。内科治療だけでも年間数万~数十万円、外科手術の場合は100万円を超えることもあります。
この記事では、ペット保険で循環器・心臓弁膜症がどこまで補償されるのか、治療費の目安や保険を選ぶ際のポイントをわかりやすくまとめました。

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犬・猫に多い循環器(心臓)の病気
循環器の病気はさまざまな種類がありますが、代表的なものを紹介します。
僧帽弁閉鎖不全症(MR・MMVD)
犬の心臓病でもっとも多いのが僧帽弁閉鎖不全症です。心臓の僧帽弁がうまく閉じなくなることで血液が逆流し、心臓に負担がかかります。小型犬の高齢期に多く見られ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、チワワ、ヨークシャー・テリアなどが好発犬種です。
初期は無症状のことも多いですが、進行すると咳、運動不耐性、失神、呼吸困難といった症状が現れます。重症化すると肺水腫を起こし、緊急入院が必要になるケースもあります。
拡張型心筋症(DCM)
心臓の筋肉が薄くなり、心臓全体が拡大してしまう病気です。大型犬(ドーベルマン、グレートデーンなど)に多く見られます。初期は無症状で進行し、突然の心不全や不整脈を起こすことがあります。
肥大型心筋症(HCM)
猫に多い心臓病で、心臓の壁(心筋)が異常に厚くなる病気です。メインクーンやラグドールなど遺伝的素因のある猫種で多く報告されています。血栓症(動脈血栓塞栓症)を合併するリスクがあり、後肢の麻痺が突然起きることも。
心膜液貯留・心タンポナーデ
心臓を包む膜(心膜)の中に液体がたまる病気です。腫瘍や炎症が原因で起こることがあり、心臓の動きを妨げるため緊急処置が必要になるケースがあります。
心臓の病気は初期には症状が出にくいため、定期的な健康診断で早期発見することが大切です。聴診で心雑音が見つかったら、すぐに精密検査を受けましょう。
自宅でも体重をこまめに記録しておくと、体調の変化に気づくきっかけになります。ペット用の体重計があると便利です。
心臓弁膜症の治療費はどのくらいかかる?
心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)の治療には、大きく分けて内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療の費用
進行ステージに応じて投薬内容が変わり、費用も異なります。
| ステージ | 内容 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|
| B1(無症状・軽度) | 経過観察・定期検査 | 検査時のみ |
| B2(無症状・心拡大あり) | 投薬開始 | 5,000~15,000円程度 |
| C(症状あり) | 複数の投薬+定期検査 | 15,000~40,000円程度 |
| D(難治性) | 高度な投薬管理 | 15,000~40,000円以上 |
年間に換算すると、ステージB2で年間6万~18万円、ステージC以降では年間18万~48万円ほどかかる計算になります。しかも一度投薬が始まると基本的には生涯続くため、トータルの費用はさらにふくらみます。
外科手術の費用
僧帽弁修復術(外科手術)の費用は150万~250万円が相場とされています。手術できる施設は限られており、術前検査・入院費・薬剤費を含めると140万~180万円程度が目安です。高額ではありますが、手術に成功すれば投薬が不要になるケースもあり、長期的には費用面でメリットが出ることもあります。


ペット保険で心臓弁膜症は補償されるのか
僧帽弁閉鎖不全症を含む心臓弁膜症は、多くのペット保険で補償対象となっています。循環器疾患は保険金請求でも上位に入る病気であり、通院・入院・手術のいずれも補償の対象になるのが一般的です。
補償される具体的な範囲
- 診察・検査(心臓エコー検査、レントゲン、心電図など)
- 投薬治療(ピモベンダン、ACE阻害薬、利尿薬など)
- 入院(肺水腫による緊急入院など)
- 手術(僧帽弁修復術など)
補償されないケース
- 保険加入前に心臓の異常が発見されていた場合(既往症・告知義務違反)
- 待機期間中の発症
- 先天性・遺伝性の心疾患を対象外としている保険の場合
- 健康診断のみ(症状がなく検査目的のみの場合)
心臓弁膜症は「すでに心雑音がある」状態で保険に入ろうとすると、心臓に関する補償が丸ごと対象外(不担保)になるケースがほとんどです。健康診断で心雑音を指摘される前に加入しておくのが理想です。
循環器の病気に備える保険選びのポイント
通院補償が手厚いプランを選ぶ
心臓弁膜症の治療は通院がメインになることが多く、毎月の投薬・検査が長期間続きます。通院の日数制限がないプランや、1日あたりの限度額が高めに設定されているプランを選ぶのがおすすめです。
毎月の通院が続く場合は、ペットが落ち着いて入れるキャリーバッグがあると移動の負担を減らせます。
手術補償の限度額を確認する
僧帽弁修復術は100万円を超える高額手術になるため、手術1回あたりの限度額が低い保険だと自己負担がかなり大きくなります。手術補償の限度額がどのくらいかは事前に確認しておきましょう。
年間限度額も重要
心臓の病気は年間の治療費が高額になりがちです。年間限度額が低いと、年の後半には補償が尽きてしまう可能性があります。年間限度額が高い、または上限のないプランが安心です。
好発犬種の場合は早めに加入を
キャバリア、チワワ、マルチーズなど心臓病のリスクが高い犬種は、若いうちに保険に入っておくことが重要です。年齢が上がるほど保険料も上がり、健診で異常が見つかると加入自体が難しくなります。


心臓弁膜症になりやすい犬種・猫種
犬で多い循環器疾患
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(僧帽弁閉鎖不全症の発症率が特に高い)
- マルチーズ
- チワワ
- ヨークシャー・テリア
- ポメラニアン
- ドーベルマン(拡張型心筋症)
猫で多い循環器疾患
- メインクーン(肥大型心筋症)
- ラグドール(肥大型心筋症)
- ペルシャ
- ブリティッシュショートヘア
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よくある質問(Q&A)
Q. 心雑音が見つかった時点で保険に入れますか?
保険会社によりますが、心雑音が告知事項に該当する場合、心臓関連の補償が除外(不担保)になるか、加入自体を断られる可能性があります。心雑音がない健康なうちに加入しておくのが安心です。
Q. 心臓弁膜症の手術費用は保険でどのくらいカバーされますか?
補償割合や限度額によって異なります。70%補償プランで手術1回の限度額が50万円の場合、150万円の手術だと保険から出るのは50万円が上限になり、残り100万円が自己負担です。手術補償の限度額は保険選びの重要なポイントになります。
Q. 心臓の薬を生涯飲み続ける場合、保険料より治療費のほうが高くなりますか?
ステージC以降では年間18万~48万円ほどの治療費がかかるため、保険料を上回るケースが多いです。ただし保険の意義は「万が一の高額出費に備えること」であり、損得だけで判断するものではありません。
まとめ
循環器・心臓弁膜症は治療が生涯にわたり、費用が積み重なっていくのが特徴です。とくに僧帽弁閉鎖不全症は小型犬に非常に多く、投薬治療だけでも年間数万~数十万円、手術になれば100万円以上の出費になります。
多くのペット保険で心臓弁膜症は補償の対象ですが、加入前に心雑音が見つかっていると補償が制限されるケースがほとんどです。愛犬・愛猫が健康なうちに保険への加入を検討し、長期的な治療費に備えておきましょう。


実際の治療費シミュレーション
ここでは、キャバリアが僧帽弁閉鎖不全症のステージCと診断され、内科治療を続けるケースを想定してみましょう。
| 項目 | 1か月あたり | 年間 |
|---|---|---|
| 薬代(ピモベンダン、利尿薬など) | 15,000円 | 180,000円 |
| 定期検査(心エコー・レントゲン)2か月ごと | 5,000円(月割) | 60,000円 |
| 臨時の通院(体調悪化時)年4回 | 2,500円(月割) | 30,000円 |
| 合計 | 22,500円 | 270,000円 |
これが毎年続き、ステージが進行すれば薬の種類が増えてさらに費用がかさみます。仮に5年間続いた場合、内科治療だけで100万円以上になる計算です。
70%補償プランであれば年間約189,000円が保険から支給されるため、自己負担は約81,000円に軽減されます。保険料を差し引いてもメリットがあるケースが多いでしょう。


保険加入のベストタイミング
心臓弁膜症に備えるなら、保険加入のタイミングは「心臓に異常が見つかる前」が鉄則です。
年齢が若いうちに加入する
保険料は年齢が上がるほど高くなります。また、高齢になると健康診断で心雑音が見つかるリスクが高まり、加入自体が難しくなることもあります。できれば子犬・子猫のうちに加入しておくのが理想です。
健康診断で異常が出る前に加入する
定期健診で心雑音が見つかると、その時点で「心臓に関する疾患」が不担保条件になったり、加入を断られたりする可能性があります。「まだ若いし元気だから」と先延ばしにせず、早めの加入を検討しましょう。
保険の乗り換えにも注意
すでに心臓の病気で通院中の場合、保険を他社に乗り換えると新しい保険では心臓関連が不担保になるケースがほとんどです。乗り換えの際は、現在の保険を解約する前に新しい保険の条件をよく確認してください。
心臓弁膜症は「年齢が上がってから発症する」イメージがありますが、キャバリアでは若いうちから心雑音が見つかるケースもあります。好発犬種を飼っている場合は、できるだけ早い段階で保険に加入しておくことが重要です。
日常でできる心臓のケア
保険の加入と合わせて、日常的にできるケアも実践しておきましょう。
- 塩分の多いおやつを控える(心臓への負担を減らす)
- 激しい運動は避け、適度な散歩を心がける
- 室温を適切に管理する(暑さ・寒さは心臓に負担がかかる)
- 体重管理を徹底する(肥満は心臓病を悪化させる)
- 年に1回は心臓の検査(聴診+心エコー)を受ける
留守番中の様子や部屋の状態が気になる場合は、外出先からスマートフォンで確認できるペットカメラを使う方法もあります。
参考リンク:ペット保険ステーション「僧帽弁閉鎖不全症とペット保険」 / PS保険「補償内容」 / アニコム損保「補償対象・対象外検索」
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