犬の外耳炎は、動物病院の受診理由として常に上位にランクインする非常に身近な疾患。耳の中が赤く腫れ、痒みや痛みを伴うため、愛犬がしきりに耳を掻いたり頭を振ったりする様子は飼い主さんにとってとても心配になるもの。
犬の外耳炎の治療費は、1回の通院あたり3,000〜8,000円程度が一般的な目安。軽度であれば数回の通院で治ることが多いが、慢性化すると長期にわたる通院が必要になり、年間で数万円の費用がかかるケースもある。
この記事では、犬の外耳炎の治療費の相場、慢性化した場合にかかる費用、外耳炎になりやすい犬種、効果的な予防法、そして飼い主さんが日常的にできる耳のケアについて詳しく解説する。

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犬の外耳炎とは
外耳炎とは、耳の穴から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起きた状態のこと。犬の外耳道はL字型に曲がっているため通気性が悪く、湿気がこもりやすい構造になっている。この構造が外耳炎になりやすい大きな理由のひとつ。人間の外耳道はほぼ真っすぐなのに対し、犬は垂直と水平の2つの部分がL字型に曲がっているため、汚れや水分が溜まりやすい。
外耳炎の主な原因
- 細菌・酵母菌(マラセチア)の増殖:耳の中の湿度が高いと菌が繁殖しやすい。マラセチアは犬の皮膚に常在する酵母菌で、増えすぎると炎症を引き起こす
- アレルギー:食物アレルギーやアトピー性皮膚炎が外耳炎の原因になることが非常に多い。外耳炎を繰り返す犬の多くはアレルギーが根本原因と言われている
- 耳ダニ(ミミヒゼンダニ):子犬に多い寄生虫で、強い痒みと黒い耳垢が特徴
- 異物:散歩中に草の種(ノギ)が耳に入り込むことがある
- 耳の構造的な問題:垂れ耳の犬種は通気性が悪く外耳炎になりやすい
- 過度な耳掃除:綿棒での耳掃除が耳の皮膚を傷つけ、炎症の原因になることがある
耳のトラブルを含め、犬に多い病気の基本を本で押さえておくと、異変に早く気づきやすくなります。
外耳炎の症状
- しきりに耳を掻く、こする、床に耳をこすりつける
- 頭を激しく振る
- 耳から悪臭がする(酵母菌感染では甘酸っぱい臭い、細菌感染では膿のような臭い)
- 耳垢が黒っぽい、または黄色〜茶色のベタつく耳垢が増える
- 耳の中が赤く腫れている
- 耳を触ると痛がる、触らせまいと逃げる
- 頭を傾ける(片側の外耳炎が重い場合)
- 耳から膿や液体が出ている(重度の場合)
外耳炎を放置すると、炎症が鼓膜の奥まで広がって「中耳炎」「内耳炎」に進行することがある。内耳炎になると平衡感覚に影響が出てフラフラ歩くようになったり(前庭障害)、最悪の場合は難聴になることもある。また、慢性外耳炎が進行すると外耳道が石灰化して狭くなり、耳道切除手術が必要になるケースもある。早めの治療が重要。
犬の外耳炎の治療費の相場
通常の通院治療
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 診察料 | 1,000〜2,000円 |
| 耳垢検査(細胞診) | 1,000〜3,000円 |
| 耳洗浄 | 1,000〜3,000円 |
| 点耳薬の処方 | 1,500〜3,000円 |
| 内服薬(必要な場合) | 2,000〜5,000円 |
| 1回の通院あたり合計 | 3,000〜8,000円程度 |
軽度の外耳炎の場合
軽度の外耳炎であれば、2〜3回の通院で改善することが多い。治療費の総額は1〜2万円程度で収まるケースがほとんど。
慢性化した外耳炎の場合
慢性化すると治療期間が1か月以上に及び、通院回数も増える。週1回の通院が数か月続くケースもあり、治療費の総額は3〜10万円以上になることがある。
さらに、アレルギーが根本原因の場合は、外耳炎の治療だけでなくアレルギー自体のコントロール(食事療法、免疫抑制剤、アポキルやサイトポイントなどの新薬)も必要になり、費用はさらに増加する。アレルギー検査だけでも2〜5万円程度かかることがある。


- 軽度の外耳炎:1〜2万円程度(2〜3回の通院)
- 中度の外耳炎:2〜5万円程度(1〜2か月の通院)
- 慢性化した外耳炎:年間5〜15万円以上になることも
- 手術が必要なケース(耳道切除術):10〜30万円程度
外耳炎が慢性化するとどうなる?
外耳道の狭窄・石灰化
繰り返す炎症によって外耳道の組織が厚くなり、耳の穴が狭くなってしまう(狭窄)。さらに進行すると組織が石灰化して硬くなり、薬が奥まで届きにくくなって治療効果が激減する。
中耳炎・内耳炎への進行
炎症が鼓膜を超えて中耳・内耳に波及すると、平衡感覚の異常(斜頸、ふらつき、旋回運動)や聴力の低下が起こることがある。中耳炎の治療には長期間の抗生物質投与や、場合によっては鼓室胞切開術という手術が必要になる。
耳道切除手術が必要になるケース
慢性外耳炎が重症化し、外耳道が完全に狭窄・石灰化してしまった場合、耳道を外科的に切除する手術(全耳道切除術+鼓室胞切開術)が必要になることがある。この手術の費用は10〜30万円程度と高額であり、術後も一定期間のケアが必要になる。
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外耳炎になりやすい犬種
| カテゴリ | 犬種 | リスクが高い理由 |
|---|---|---|
| 垂れ耳 | コッカー・スパニエル、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ビーグル、バセットハウンド | 耳が垂れて蓋をした状態になり、通気性が悪い |
| 耳毛が多い | プードル、シュナウザー、マルチーズ | 耳の中に毛が生えていて湿気がこもりやすい |
| アレルギー体質 | フレンチブルドッグ、柴犬、ウエストハイランドホワイトテリア、シー・ズー | 食物アレルギーやアトピーが外耳炎の根本原因になる |


犬の外耳炎を予防する方法
1. 定期的な耳のチェック
週に1回程度、耳の中を確認して異常がないかチェックしよう。赤み・匂い・耳垢の増加が見られたら早めに受診する。特に梅雨時期や夏場は要注意。
2. 正しい耳掃除
やりすぎは逆効果。健康な耳は基本的にセルフクリーニング機能を持っているため、過度な掃除は不要。綿棒を耳の奥まで入れるのは厳禁で、耳垢を奥に押し込んでしまったり、耳の皮膚を傷つけたりする原因になる。イヤークリーナーを使う場合は動物病院で推奨されたものを選び、獣医師の指導に基づいて行おう。
3. 耳の通気性を確保する
シャンプー後は耳の中の水分をしっかり拭き取る。コットンで優しく拭くか、自然乾燥させる。垂れ耳の犬種は、時々耳をめくって空気を通してあげるとよい。
4. アレルギー管理
食物アレルギーやアトピーが外耳炎の根本原因になっていることも多い。外耳炎を繰り返す場合はアレルギー検査を受け、アレルゲンを特定して除去食やアレルギー対応フードに切り替えることを検討しよう。
5. 湿度管理と季節への注意
梅雨時期や夏場は湿度が高く、耳の中も蒸れやすい。この時期は特にこまめな耳のチェックが大切。プールや海で泳いだ後も耳の中の水分をしっかり拭き取ること。
よくある質問(Q&A)
Q. 犬の外耳炎は市販薬で治せる?
A. 市販の点耳薬やイヤークリーナーで一時的に症状が緩和することはあるが、原因(細菌・真菌・アレルギーなど)に合った治療をしないと完治しない。自己判断での治療は慢性化のリスクがあるため、獣医師の診察を受けることが大切。
Q. 外耳炎はペット保険で補償される?
A. 外耳炎はほとんどのペット保険で補償対象。通院治療も手術も対象になるケースが一般的。ただし、通院日数や回数に制限がある保険プランでは、慢性外耳炎の場合に上限に達してしまうことがあるため、通院回数の制限がないプランを選ぶと安心。
Q. 外耳炎が片耳だけに出ることはある?
A. ある。異物が原因の場合は片耳だけのことが多い。ただし、アレルギーやマラセチアが原因の場合は両耳に症状が出ることが多い。片耳だけの外耳炎が続く場合は、異物や腫瘍の可能性も考えて精密検査を受けることが推奨される。
Q. 外耳炎の治療中にシャンプーしてもいい?
A. 獣医師に確認すること。一般的にはシャンプー自体は可能だが、耳に水が入らないよう注意し、シャンプー後は耳の中をしっかり乾かすことが重要。コットンで耳を軽く塞いでからシャンプーする方法もある。
普段のシャンプーには、皮膚への刺激が少ないタイプを選ぶ飼い主も多いです。治療中の使用は獣医師に確認してください。
Q. 犬の耳垢が黒いのは外耳炎のサイン?
A. 黒い耳垢は耳ダニ(ミミヒゼンダニ)感染やマラセチア感染の可能性がある。正常な耳垢は薄い黄褐色で少量。黒い耳垢が大量に出る場合は動物病院で検査を受けること。


まとめ
犬の外耳炎の治療費は、軽度なら1回3,000〜8,000円、2〜3回の通院で1〜2万円程度。慢性化すると長期通院が必要になり、年間5〜15万円以上の費用がかかることもある。重症化して耳道切除手術が必要になれば10〜30万円の出費になるケースも。
外耳炎は早期発見・早期治療が費用面でも愛犬の負担軽減の面でも非常に重要。定期的な耳のチェック、正しい耳掃除、アレルギー管理を日頃から心がけ、慢性化を防ぐことが大切である。
ペット保険への加入も、外耳炎の慢性化による長期通院に備える有効な手段。愛犬の耳の健康を守るために、今できることから始めてみよう。
参考:ペット保険比較のピクシー「犬の外耳炎の治療費」 ペット保険STATION「外耳炎はペット保険で補償対象?」 FPCペット保険「外耳炎」
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