犬は好奇心旺盛な動物で、食べ物でないものを口にしてしまう「誤飲・誤食」は日常的に起こりうるトラブルのひとつ。靴下、おもちゃの破片、焼き鳥の串、ボタン電池など、犬が飲み込んでしまうものは想像以上に多い。
誤飲した異物が胃にとどまっている場合、内視鏡を使って体を切らずに摘出できる可能性がある。内視鏡手術の費用は5〜15万円程度が目安だが、開腹手術が必要になると20万円以上かかるケースもある。
この記事では、犬の誤飲時に行われる内視鏡手術の費用、実際の事例、開腹手術との違い、そして誤飲を防ぐための対策について詳しく解説する。

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犬の誤飲で多いもの
- 布製品:靴下、タオル、ぬいぐるみの中綿、マスク
- おもちゃの破片:ボール、ゴム製品、プラスチック片、ロープの繊維
- 食品関連:焼き鳥の串、爪楊枝、トウモロコシの芯、果物の種(桃・梅など)、鶏の骨
- 日用品:ボタン電池、ヘアゴム、ビニール袋、画鋲、ペットシーツ
- 人間用の薬やサプリ:テーブルに置いた錠剤、サプリメント
- ひも状のもの:リボン、糸、ストッキング、輪ゴム
特に靴下やタオルなどの布製品は犬が好んで咥えるため、誤飲件数が非常に多い。飼い主さんの臭いがついた布は特に魅力的に感じるようで、目を離した隙に飲み込んでしまうケースが後を絶たない。
留守中の様子が気になる場合は、ペットカメラで離れた場所から確認できるようにしておくと安心です。
また、ひも状のものは特に危険。腸に絡まると腸管が手繰り寄せられて壊死し、緊急の開腹手術が必要になることがある。
誤飲後の症状
- 嘔吐を繰り返す(吐こうとするが吐けないことも)
- 食欲がなくなる
- 元気がなくなり、ぐったりする
- お腹を痛がる、触ると嫌がる
- よだれが異常に多くなる
- 便が出ない、または下痢
- お腹が膨らんでいる
- 落ち着きがなくなる、そわそわする
異物の種類や大きさによっては、飲み込んだ直後は症状が出ないこともある。しかし数時間〜数日後に腸閉塞を起こして急激に状態が悪化することがあるため、異物を飲んだことが分かっている場合はすぐに動物病院に連絡することが大切。
鋭利なもの(針、串、画鋲など)を飲み込んだ場合や、ボタン電池を飲んだ場合は特に緊急性が高い。ボタン電池は胃液で化学反応を起こし、短時間で消化管に穴を開けることがある。無理に吐かせると食道を傷つけるリスクがあるため、催吐処置を自己判断で行うのは厳禁。
犬の誤飲における治療法の種類
1. 催吐処置(吐かせる)
異物が胃にある段階で、薬を使って吐かせる処置。飲み込んでから2時間以内が有効で、費用は5,000〜15,000円程度。ただし、鋭利な異物や電池の場合は催吐処置は禁忌とされている。トラネキサム酸やアポモルフィンなどの催吐剤が使われる。
2. 内視鏡による摘出
全身麻酔下で内視鏡(カメラ付きの細い管)を口から挿入し、胃や食道にある異物をつかんで取り出す方法。体を切開する必要がないため回復が早く、入院も1〜2日で済むのが大きなメリット。異物の形状や大きさによっては内視鏡で対応できないこともある。
3. 開腹手術
異物が腸に移動していたり、内視鏡では取り出せないサイズの異物の場合に行われる。胃切開術や腸切開術が必要になり、費用も入院期間も大きくなる。腸管が壊死している場合は腸の一部を切除して縫合する手術が追加される。
4. 経過観察
ごく小さな異物で、自然に便として排出されると判断される場合は経過観察となることもある。ただし、レントゲンやエコーで異物の位置と大きさを確認したうえでの獣医師の判断であり、自己判断で経過観察するのは非常に危険。


内視鏡手術の費用の内訳
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 診察料・初診料 | 1,000〜3,000円 |
| レントゲン検査 | 3,000〜7,000円 |
| 超音波(エコー)検査 | 3,000〜5,000円 |
| 血液検査(術前) | 5,000〜10,000円 |
| 全身麻酔 | 10,000〜30,000円 |
| 内視鏡による異物摘出 | 30,000〜80,000円 |
| 入院費(1〜2日) | 5,000〜10,000円 |
| 投薬・点滴 | 3,000〜10,000円 |
| 合計目安 | 5〜15万円程度 |
PS保険の調査によると、犬の誤飲にかかる1回あたりの手術費の全体平均は約89,000円(小型犬約82,000円、中型犬約80,000円、大型犬約100,000円)とのデータがある。内視鏡で済むか開腹になるかで費用は大きく変わる。
- 内視鏡手術の費用目安は5〜15万円程度
- 開腹手術が必要な場合は20〜40万円以上になることも
- 犬のサイズが大きいほど麻酔量が増え、費用も高くなる傾向
- 飲み込んでから時間が経つほど治療が複雑になり費用が上がる
内視鏡手術と開腹手術の比較
| 項目 | 内視鏡手術 | 開腹手術 |
|---|---|---|
| 費用 | 5〜15万円程度 | 20〜40万円程度 |
| 体への負担 | 低い(切開なし) | 高い(腹部を切開) |
| 入院期間 | 1〜2日 | 3〜7日 |
| 回復期間 | 数日〜1週間 | 2〜4週間 |
| 適用条件 | 異物が胃か食道にある場合 | 異物が腸にある場合や大きい場合 |
| 傷跡 | なし | 腹部に切開跡が残る |
内視鏡手術は開腹手術に比べて費用・負担ともに軽いが、すべてのケースで適用できるわけではない。異物が腸に達している場合や、内視鏡で把持(つかむこと)が困難な形状の場合は開腹手術が必要になる。内視鏡で試みたが取り出せず、そのまま開腹手術に移行するケースもある。
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実際の誤飲事例
事例1:靴下を飲み込んだトイプードル(2歳)
飼い主さんの靴下を咥えて遊んでいるうちに飲み込んでしまい、嘔吐を繰り返したため受診。レントゲンで胃内に異物を確認し、内視鏡で摘出。費用は約8万円、入院1日で退院。早期に受診したことが功を奏した。
事例2:焼き鳥の串を飲んだ柴犬(5歳)
ゴミ箱をあさって焼き鳥の串を丸飲み。鋭利な異物のため催吐は禁忌と判断され、全身麻酔下で内視鏡による摘出が行われた。串が胃壁を傷つけていたため追加の投薬治療が必要になり、費用は約12万円。
事例3:おもちゃの破片が腸閉塞を起こしたラブラドール(3歳)
ゴム製のおもちゃを噛みちぎって飲み込み、2日後に嘔吐と食欲不振が始まる。内視鏡では届かない小腸に異物が詰まっており、開腹手術で腸切開を実施。入院5日、費用は約25万円。もっと早く受診していれば内視鏡で対応できた可能性もあった。
事例4:ボタン電池を飲み込んだチワワ(1歳)
床に落ちていたボタン電池を飲み込んでしまい、飼い主さんが気づいてすぐに受診。電池は胃にあったため緊急の内視鏡摘出が行われた。電池による胃粘膜の損傷もあり、その後1週間の投薬治療。費用は約10万円。


犬の誤飲を防ぐための対策
- 床に小物を置かない(靴下、ヘアゴム、おもちゃの破片、電池など)
- ゴミ箱にはフタをつけるか、犬が届かない場所に置く
- 犬のおもちゃは丈夫なものを選び、破損していないか定期的にチェック
- 食事中に目を離さない(人間の食べ物を盗み食いするケースも)
- 散歩中は拾い食いに注意する(リードを短めに持つ)
- 「出して」「離して」のコマンドトレーニングを日頃から行う
- 子供のおもちゃ(小さなパーツが外れるもの)は犬の手が届かない場所に保管
- キッチンでは調理中の食材(骨、串、ラップなど)の管理を徹底
よくある質問(Q&A)
Q. 犬が異物を飲み込んだ場合、何時間以内に受診すべき?
A. できるだけ早く受診するのが原則。催吐処置は飲み込んでから2時間以内が有効とされる。鋭利なものや電池を飲んだ場合は即受診が必要。「様子を見よう」と迷っている時間がリスクを高める。
Q. 内視鏡で取れない場合は全部開腹手術になる?
A. 内視鏡で届かない位置(小腸以降)に異物がある場合は開腹手術が基本。ごく小さな異物は経過観察で自然排出を待つこともあるが、獣医師の判断に従うこと。
Q. 犬の誤飲はペット保険で補償される?
A. 誤飲・誤食による治療はほとんどのペット保険で補償対象。ただし待機期間中や、保険加入前に発生した誤飲は対象外となることがある。繰り返しの誤飲で保険請求が増えると、更新時に条件が変わる可能性もある。
Q. 自宅で吐かせることはできる?
A. 塩水を飲ませて吐かせようとする方法がネット上で紹介されていることがあるが、これは非常に危険。塩分中毒を起こす可能性がある。催吐処置は獣医師のもとで適切な薬剤を使って行うべきであり、自己判断での催吐は厳禁。
Q. 誤飲から何日も経ってから症状が出ることはある?
A. ある。異物が胃から腸へゆっくり移動し、数日後に腸閉塞を起こすケースもある。飲み込んだことが分かっている場合は、症状がなくても早めに受診しておくことが安心。


まとめ
犬の誤飲時に内視鏡手術が行われた場合の費用は、5〜15万円程度が一般的な目安。開腹手術が必要になると20〜40万円以上かかることもある。内視鏡手術は体への負担が少なく回復も早いが、異物の位置や大きさによっては適用できないケースもある。
誤飲は予防が最も重要。室内の整理整頓、ゴミ箱の管理、散歩中の拾い食い防止など、日頃の対策で誤飲リスクを大幅に減らすことができる。万が一に備えてペット保険への加入も検討しておこう。
参考:アニコム損保「犬が誤飲・誤食してしまった!」 PS保険「犬と猫の誤飲にかかわる診療費は?」 ペット保険比較のピクシー「ペット保険で誤飲は補償される?」
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